【ネタバレあり感想】映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021
観に行きました、宇宙小戦争2021!
いやあ、面白かった……!
良い映画だった!この一言に尽きます。
原作・旧作が大好きな私ですが、変なしこりなく、心から楽しめたリメイク作でした!
ロボットアニメ並みに気合の入ったメカ作画。
原作のプロットを守りつつアレンジを加え、先を予想させない展開。
パピ君のキャラクターをより掘り下げることで生まれた、キャラへの親近感。
明るく軽やかに展開が進みストレスフリーに見れる、一級品のエンタメ映画です!
いや、本当、本編の間に「いい映画じゃんか……」って何回(心の中で)呟いたものか。
エンドロール後に拍手しそうになるくらい、誇張抜きで、本当にいい映画でした!
初めての方はもちろん、原作・旧作ファンも十二分に楽しめる、良いリメイク作です。
少しでも気になっているという方は、どうかどうか、ぜひ劇場に足を運んでほしい……!!
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※以下、映画の内容についてのネタバレあり
(以下、原作とのストーリー比較をする文章が多くなりますが、原作と違う!と非難する意図は全く無いです!
ここを変えたのか!ほう!という感嘆をしたいがための確認作業になります。誤解なきよう……)
*出木杉!!
まず、出木杉!!良かったなあ!!!!
映画では何かと不遇な出木杉くん。今回は最初からいます!!オメデト……
原作では、スネ夫たちのSF映画作りにのび太の代打で途中参加した出木杉くん。
今回の映画では、最初からのび太スネ夫ジャイアン出木杉くんの4人で映画を作っています。
原作だとのび太と出木杉が一緒に映画を作るタイミングが無かったので、今回はみんなでSF映画を作っているのを見て、ほほえましくなりました。
SF映画作りは最初から4人(+ドラちゃんの5人)でやれば平和だったんだ……!と、プチ青天の霹靂でした。
そのあと、塾の合宿で抜けてしまって、冒険の置いてけぼりの憂き目にあうのはいつも通りですが。
オリジナルのラスト(出木杉に映画を見せて「聞きたい?」)も、良いシーンでした。
じんわりしながらも、「あんなすごい映画見せられたら、出木杉くんも悔しい思いをしたろうな……よりにもよって合宿で抜けている間に冒険してたんだもんね……」という気持ちとせめぎあっていました。
いつか出木杉くんも冒険に連れて行ってあげて……!
しょっぱなから話が本筋じゃなくてすみません。
最初から映画作りに出木杉がいるこのシーンが、今回の映画のファーストインパクトだったんですよ。
こりゃだいぶ原作と変えてきてるな!と察せられる最初のシーンじゃないですか。
OP始まってないこの時点でだいぶ前のめりになりました。
終わってみれば、これはほんの序の口で、ずっと先の読めない展開が続いてわくわくしっぱなしでした……!いい映画だな……。
余談ですが、のび太が厄介払いされてゴミの詰まった段ボールを抱えてゴミを捨てに行くところ、なんとなく魔界大冒険を思い出しますね。後半の石ころ帽子のくだりもそうですが。
*パピ君の親近感
今回、一番原作との印象が異なるのが、パピ君との距離です。
原作では、冒頭にのび太がSF映画作りから追い出されて、しずかちゃんと映画を撮り始め、ウサギが行方不明に……という話運びで、映画作りにけっこうな尺を取っているのでパピくんとドラちゃんたちが出会うまでしばらくあるのですが、
今回はそこをバッサリカットして、いきなりパピ君と出会ってます。
加えて、地球でパピくんと過ごす期間も(尺的に)短くなっている。かなり早い段階でピリカ星へ旅立っていました。
原作では、パピ君と共有した時間や日常(交流パート)がピリカ星へパピ君を助けに行く強い動機となるのですが、
今回、パピ君を奪還してピリカ星へ同行する流れになっているので、交流パートはその道中でも挟むことができる。その追加された交流パートが、パピ君への親近感を与えている。
映画の視聴者にとっても、のび太たちにとっても、パピ君との距離が近づくつくりになっていて、うまいなあと思いました。
オリジナルのスネ夫とのシーンや、原作ではあまり見られなかったロコロコとの会話シーンも良かったです。
新キャラのピイナの立ち位置もいいですね。
パピ君がピリカ星に連行されないという展開にした以上、パピ君がピリカ星へ戻る強い動機が必要となる。
「大統領として国民を助けに」ピリカ星へ戻るというのもリーダー然としていて格好いいですが、
「人質としてとらわれている」「唯一の肉親の姉」のためにピリカ星へ戻る、という動機もあると、
パピ君の等身大の少年らしい部分や家族を大切にする優しさも伝わって、より親近感が増す気がします。
ラストにしずかちゃんと姉を重ねていたことを気づかれたくなくて慌てるパピくんもかわいかったですね。
原作・旧作のパピ君に対して、「立派な人だなあ、かっこいい」とは思いこそすれ、
等身大の少年としての親近感を覚える、ということはなかったのですが、
今回のリメイクではかなりパピくんへの親近感がわいて、もっと好きになりました。
いやあ、良いリメイクですよ……
*2021らしい部分
時代に合わせた配慮も多々見られましたね。まさに2021。
ぱっと思いつくのが、下記。
・スネ夫の「女の子ひとり危険な目にあわせるわけにも……」→「きみひとりで危険な目にあわせるわけにも……」
・無人アピール「(戦闘機が)無人機だよ」「ここ一帯は避難区域です」
・理不尽なジャイアン暴力の減少(殴り込みシーンのカットなど)
もうほかの人が色んな感想文で喋ってるんだろうな!なので詳しくは割愛します。
原作の要素を今の価値観に添ってうまーくリメイクしてて、丁寧さを感じました!
*キャラのIQが……高い!
知将・ドラコルルがドラ陣営の行動を全部先読みしてて、怖……!
声(cv.諏訪部氏)の存在感もあって、切れ者感が増してましたね。
ドラ陣営のみんなも、原作より賢い……!というか、視聴者が感じそうなストレスを先回りで排除している印象でした。
ドラ・のび・ジャイとロコロコがピリカ星の自由連合への連絡係になるくだりで、
原作だと効き目4時間の片づけラッカー→効き目が短いチータローションを使って移動しているけど、
今回は効き目4時間の片づけラッカー→有効期限なしの石ころ帽子を使ってます。
片づけラッカーを使って「有効期限があるものはだめだ」と学習して石ころ帽子を使うのが……かしこい!
(というより、視聴者の「いや有効期限つきの道具はもう使うなよ」という突っ込みを事前に回避してるんでしょうね)
石ころ帽子でPCIA本部に特攻する展開にもつながっていて面白かったですね。
石ころ帽子で城攻めというとどうしても魔界大冒険をほうふつとさせますが、
間違いなく意図的なオマージュでしょうね。味な真似を!
パピ奪還のとき、ほんやくコンニャクでPCIAからのメッセージを読んで現場に駆け付けるのも、ドラ陣営の頭がさえてましたね。あそこはかっこよかったなあ。
*追加された戴冠式シーン
オリジナルで追加されたシーンですが、すごく良いシーンでした。
パピの素直で誠実な言葉が、ギルモアへの抵抗へ民衆を駆り立てる。
パピ君の言葉はどこまでもストレートで気恥ずかしいくらいの言葉を並べるけれど……そこがイイ!
パピくんの「等身大の少年」としての側面を浮き彫りにしたストーリーとかっちり嚙み合っていて、素直に感動しました。
*その他もろもろ(箇条書き)
・しずかちゃん巨大化シーンの気合の入りよう!
・ドラのびだけ同部屋でダブルベッドあてがわれてる なんで?
・ロコロコのウザさがマイルド
・髭男ありがとう いい曲
・OPの特撮映画風(?)クレジットいいですね
・スネ夫の「自由をわれらに!なんちゃって」洒落っ気がいい!
*総括
面倒な原作・旧作ファンなもので、リメイク作はやはり斜に構えて見てしまうところがあったのですが、
今回はそういう面倒くさい気持ちは最初の映画作りのシーンを見たとたんに宇宙の彼方に丸めてポイされたので、
純粋にわくわくしながら見られました!そのことが本当にうれしい……。
大筋は変わってないですが、ここを変える!?ってところ、結構変えられてるんですよね。パピ君奪還とか。
ですが、変えられたからって残念に思うこともなく、かえって先の展開の期待値が膨らみました。
お話を知ってても(むしろ、知っているからこそ)楽しめるって、いい映画だな……。
というわけで、とてもいい映画でした!
2年待った甲斐がありました!!たくさんの人に観てほしい!!!!!